第1969話:アフタ・カルト〜想像の世界〜

 この街は想像の世界だ。

 人々の想像により形を変える。

 ここに家があったような気がしていたら、そこに家が建つ。まぁ、流石に今までなかった建物に人はいない。

 想像力の不足によりハリボテだったりもする。

 他人の想像を上書きするにはより強度の高い想像力を必要とするから、本当ならばそうそう街の地図が書き換わったりはしないはずなのだが、この街に住む人間は全員想像力が豊かで拮抗した想像力を持っているので毎日のように地図は書き換わる。

 住む人たちの見た目もそれぞれの自己認識によって雰囲気が変わる。

 いわゆる漫画で言う画風の違いというものが存在しているんだ。

 それが、この街のことを語るために必要な前提の知識。

 まぁ、人の想像力の影響を受けやすい街ってことだ。

 そんな我が街にとてつもない危機が訪れた。

 それはその街に住む誰もの想像の外からやってきた。

 想像力0人間だ。

 想像力が全てのこの街で想像力0の人間が何かをできるとは誰も想像していなかったが、それは間違いだった。

 普通想像力が無い人間がこの街に来ると見たまんまの景色が浮かんで景色の更新はされないのだが、想像という行為ができない人間の場合見たまんまを頭に浮かべるということもしないのか、何もない状態が上書きされてしまった。

 もしかしたら誰も想像しなかったというのが間違いで、想像力0人間が来たらこうなるんじゃないかというのを滅茶苦茶想像力がある奴が想像したことがあったから起きたことなのかもしれない。

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