第1970話:チャーティ・リンガー~記念~

「世界滅亡記念カンパーイ!」

 酒場の奥の個室で同じ世界出身の3人で集まって飲んでいる。

 乾杯の音頭でも言ったが、これは記念日の集まりだ。私たちの生まれそだった世界が滅んだ記念日。

 14年前の今日、俺たち揃ってこの世界に来た。

 住んでいた世界が滅んだからだ。

 それ以来、毎年この時期は集まって世界滅亡を祝っている。

 故郷が滅んだことを祝うとはどういうことだ、不謹慎だという意見もあるかもしれないが、俺たちにとって世界が滅んだことは祝うべき事柄だったのだから。

「しかし、14年となるとあの時のことについて話すこともなくなってしまったな~」

「ん、俺はまだいろいろあるぞ?」

「ほんとにかよ。結構いろいろ話したろ?」

「いや、最近になってまたあの世界出身の奴に何人か会ったりしてるんだよ。そいつらがまた面白い話を持っててな」

「へぇ、そんなのと会ったのか。この会に連れてきたらどうだ?」

「いや、奴は世界の滅亡を悔やんでる奴だったから、この会に連れてくるのはダメだな。まぁ聞いた話ってのをしてやるよ」

「どんな話を聞いてきたんだよ、面白い話なんだろうな?」

「もちろんさ。この話をしてくれた奴はあの滅亡に仕組まれた一部に関与してるって言う奴なんだがな……」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る