第1945話:ヨウト・ハルマ〜場を取り仕切る〜

「この場は私が取り仕切らせていただきます」

 突然現れた人がそう言って今にも殴り合い出しそうだったこの場をまとめ、両者を話し合いの席に着かせてしまった。

 おそらく、先程まで不利であった相手側の用意した保険のようなものだとは思うが、ここまできれいに作用して場が収まるとは思わなかった。

 してやられたぜと相手側を見るが相手側も様子がおかしい。

 もしかして向こうもこの話を知らないのか?

 そんな馬鹿なことがあるか、抗争中に全く関係ないやつがいきなり出てきて仲裁して場を仕切り始めるなんてこと、あるか???

 相手もそう思ってそうな顔だ、周りもみんなそう。

 そんな感じで皆、混乱している間にあれよあれよとまとめられてしまったのだ。

 向こうが用意したわけじゃないとなると、何者なんだ……?

 まぁ、俺も抗争で死ぬのはごめんだし、うまいこと穏便に話をまとめてくれるならありがたい。

 そうやって話を聞いているうちになんだかんだ平等な条件がどんどん挙げられていき、最後には

「双方、全滅ということで手打ちとします」と締めた。

 全員が納得仕掛け、全滅という言葉に反応できた頃にはもう遅かった。

 どんどん人が入ってきて、次々とその場にいる人を殺し始めていた。

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