第1911話:タヌメール・テフロ〜超能力〜

「超能力ってあるだろ」

「ない」

 即答されてしまった。

「いやあるだろ、前に見かけたじゃねぇか」

「あの大道芸だろ、手品だよあんなの」

「手品じゃねーだろあれは」

「種も仕掛けもあるさ、ああいうのは。俺は詳しいんだ」

「知らないこともいっぱいあると思うけどなぁ」

「それでも超能力はないと思う」

「いーや、あるね。間違いない」

 なぜそうも意固地になるのか、前の世界ならいなかったかもしれないが、この世界だとどんな人でもいるから、超能力者だっていてもおかしくないのに……

 昔の感覚を捨てきれていないのかもしれない。

「この世界に来て人間の規格が拡張されすぎて、人間の枠を超える能力っていうのが存在し得なくなったからな……」

「あ、そういうこと……」

 ただの超能力者の原義にこだわるタイプだったか……

 そういう意味では念動力も人の力の内だものな……

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