第1912話:サル・ポルラル~巨大な背中~
「何にもいないな」
今回の任務は日のあるうちに地図の地点に向かい、そこにいる生物を討伐せよという依頼でここまでやってきたわけなんだけど、なーんにもいない。
やけに凹凸の激しい地形を進んで、崖の縁から垂れていたツタを登り、何とか日のあるうちに到着したのだが、何もいない。
近くをぐるりと見て回ったが、討伐対象となりそうな生物は一切見られなかった。
夜行性の生物で日のあるうちは動かないから日のあるうちにという内容だったのだろうけど、今日のねぐらはここではなかったということなんだろう。
「無駄足だなぁ……」
あの道のりをこの時間から歩いて帰るのは面倒だし、この場所で今日は一晩明かすことにしよう。
夜が明ける前に起きれば、もしかしたらここに戻ってきた討伐対象を狩れるかもしれない。
夜、明日は早く起きるぞと早めに寝る準備をして微睡んでいたら突然地面が揺れだした。
「な、なんだ!? 地震!?」
長い地震だ。
周期的にズゥウン、ズゥウンという重い振動が響き、辺りに昼間は感じられた生物の気配はない。
もしかして討伐対象の生物が戻ってきた足音なのか……?
そう思い、気配を探るがわからない。
そもそもこの揺れがどちらの方角から響いてきているのかが全くわからないのだ。
いや、もしかしてこれは……
ここ自体が討伐対象の生物の背中、ということだろうか……?
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