第1907話:テウラ・リラス~弱小なる者~

「貴様、弱小なる者の癖して我が前に立ちはだかるというのか?

 己が身をわきまえその身を退けよ。今の内であればまだこれは命令ではない、貴様の自由意思を尊重した勧告だ。自分の意思で、動くことをまだ認めているということだ。

 どうだ? ここまで譲歩したがまだ退かんのか?

 ふ、なんという強情、面白い。

 どうだ、我が側近にしてやっても良い、我が傍に常に身を置き、我が意思に常に反抗を示してみないか? いや、貴様の自由に振舞ってもらっても良い。ただ、我が傍に身を置いていてくれればよいのだ。

 なんだ、嫌か? そうか、貴様は自由気ままに振舞う方がそれらしいものな、ふふふ、そうかそうか。そうだな、貴様はそれでよい。

 ならばそれを踏まえ言おう、そこを退くが良い、これは命令だ。従わないことは私が許さぬ」

「一人で何を言ってるんですか」

「おお、ようやく来たか。何、我に従わない者がいてな、ちょっと楽しくなってきてしまってな。どうだ、この者を我が家に招き入れるのはどうだろうか?」

「どれです? 猫ですか、あなたいつもこうやって猫拾いたがるじゃないですか。ダメですよ、野良の生き方が合ってるんでしょう。どうせ、声をかけても無視されたんでしょう? どうせうちに居付いたりしませんから、餌とかあげないでくださいよ」

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