第1811話:テリ・パーテ~無限に入る~

「やぁやぁ、ちょっと寄っていかないかい?」

 町で道売りに声をかけられた。

 暇でぶらついていただけだった俺は、なんだなんだと寄ってみることにした。

「この袋なんだが、物が無限に入るのさ。見たところアンタ、物を捨てられない質だろう? こういう無限に物が収納できるっていうのは魅力的だと思うが」

「うーん、まぁ便利っちゃあ便利なんだろうが、俺は別で亜空間を借りてるから、かさばる物は全部そっちに入れてるんだよね」

 道売りの言い当てたように、俺は物を捨てられない質で家には様々な置物や使わなくなった道具、家具等が山ほどある。

 しかし、大半はレンタル亜空間にしまってあるし、まだそちらの容量もいっぱいあるから別にここでこの無限を謳う袋を買う必要はない。

「あー、レンタル亜空間ですか。それはあんまりおススメできないんですよねぇ」

「なぜだ」

「そりゃあ、もし空間管理者の方で何かあって空間が維持できなくなったらどうなると思います?」

「考えたことなかったな、全部消えるか?」

「いえいえ、違うんですよ。正解は預けたものがすべて放り出されるんです。場所は、契約にもよりますが入れた場所か、空間管理者の元か、その他の契約者の場所か、わかりますか? 管理者の元であれば、失ったで済むのですが、手元に現れた日には体積が爆発して部屋なら部屋で基本的に吹っ飛びますし、誰かのところに集中してだったらその人のところがありとあらゆる人の預けている物で吹っ飛びます。最悪町ごと吹っ飛ぶかもしれない、それがもしかしたら自分のところかもしれない」

「マジ……?」

「マジですマジ、その点この無限袋は容量制限は無いし、万が一袋が壊れた場合でも空間が閉じるだけでまた私に預けてもらえれば修理させていただいて、再び空間とつなげなおすサービスもやっていますよ」

「うわぁ、ちょっとほしくなってきちゃったな」

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