第1799話:フギツ・キチョウ~永遠に君と~
「永遠に君と過ごそう、そう約束したはずなのに俺だけ死んでしまった」
「そいつは災難だったな。相手の方は一緒に死んだわけじゃないのかい? 名前と前にいた世界がわかれば検索して引き合わせることもできるが」
「すでに調べてもらったんですが、いなかったんですよ。一緒に死んだわけでもないですし」
「心中してはぐれたわけじゃないんで?」
「いや、単に事故かな。僕だけが死んでしまったんだよ。あんまり死んだときのことは覚えていないんだけど、僕だけが死んだんだ」
「そいつはまぁ、災難だったな。まぁこっちで長く生きればいつの日にかは向こうもこっちに来るだろうよ。それまでお互い約束を忘れなければそれからまた永遠を共にすればいいさ」
「それはダメなんです。僕と彼女は永遠を一緒に過ごすという契約を結んだので、僕が死んだら僕が再び当てがわれることになるんです」
「つまり?」
「僕は死んだけど、僕の記憶を持つ次の僕が彼女にはいて、当然僕がこっちで待っていることなど知らないから次の僕と仲良くしてるはずです。もし、次に彼女だけが死んだのならその彼女とは一緒にいられると思いますが、僕が死んでから彼女が死ぬまでの彼女と僕との記憶は僕にはありません。それに、彼女だけ死ぬという状況が発生するかどうか……最悪の事態では僕が直接ガードして彼女を守ることもありますから、僕だけが死んで次の僕がこちらに追加で来る可能性の方が高いですよ」
「あー、それは難儀だな」
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