第1781話:フチ・レーン~クレーム対応~

「どうなっているんだ!」

 そう怒鳴らなくてもいいだろうに、どうなってるのか全然わからねーのはこっちも同じなんだから。

 本当にどうなっているんだろうか、このままではというか、すでにここの処理能力はパンクしている。

 客からのこの詰め寄りによって全スタッフは引っ張られており、誰も本部の方へ状況を聞きに行けてない。

 そのせいで今ここで発生している問題自体を把握しているスタッフは半分にも満たないだろう。

 だから、ここでお客さんがわめいても何にも解決しないし、それで幸せになる人はいない。

「ですから、状況がわかり次第お知らせしますから。今日のところは帰っていただいて……」

 帰ってもらわなければ状況は何もわからないし、改善もしない。

 しかして、今この目の前にいる人たち一人一人をそう説得して帰ってもらうのも不可能に近い。

 つまり状況は詰みという奴だ。

 誰か事情を知らない人が公権力を呼んでこの人たちを解散させるなりしてくれないとどうにもならない。

 というか、ここでさっきから要領を得ない回答しか得られてない彼らはどうしてここで質問をし続けているのだろう。

 彼らが諦めて帰ってくれることだけが事態を好転させる方法だというのに……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る