第1777話:ウテ・リリ~雨を待つ~

「いい天気だなぁ……」

「本当にな」

 2人して空を見上げながら雨を待っている。

「しかし、雨の日にしか出てこない怪物を討伐する依頼だったよな?」

「ああ、そうだよ。ここ最近の被害がどうもでかいらしい。それで討伐の依頼が来たんだが……」

「雨が降らないことには討伐も何もないよなぁ」

「出てこないことにはな。どうしようもない」

 そうだよなぁと空を見る。

「雨降らないかなぁ」

「よし、雨乞いをしよう」

「雨乞い!?」

「そう、雨乞いだ。天の神へ祈りや舞踊、供え物を捧げることにより雨を降らせてもらう秘術、農家の必須スキルと言ってもいい」

「お前農家だったのか?」

「昔はな、さて始めるぜ」

「お、おう」

 そう言ってありあわせの供え物を簡易テーブルの上に置き、何やら唱えながら怪しい踊りを踊り始めた。

「雨降らねぇな?」

「まぁ落ち着け、この雨乞いは早ければその日のうちに効果が出るが、数日かかることもあるんだ」

「数日!?」

「ああ、それほどまでに雨乞いというのは大変なんだ」

「うーん、数日待つぐらいなら普通に雨降るんじゃないか?」

「そうか……?」

「そうだよ。今日はこんな雲一つないいい天気だ、おそらく降ることはないだろう」

「それならどうするんだ?」

「しばらくここらでキャンプをして、雨を待つことにしようか」

「ならば、俺はしばらく雨乞いを続けるぜ」

「いや、普通に食料とかを取りに戻ってもらいたいんだが。俺はここでキャンプの設営をしてるからさ」

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