第1730話:ウィル・ホウソ~この先永遠に~
「君にはこの先永遠に未来というものは訪れない」
そう言われて薬を飲まされて、何年経ったか。
いや、何年もたっていない。
むしろ、1秒たりとも経ってはいない。
飲まされた薬は思考を加速させる薬、一瞬で未来すべての思考を賄えるほどの思考が可能になり、体感でどれだけ経っても実際には全く時間が経過していないという薬だ。
すでに感覚的には何十年も前のことだから、どうしてそうなったのかは全く覚えていないが、そういう薬を飲んだのだ。
その時に未来が来ないとか、そういうはどれだけ滾々と説明されても結局その時には意味が分からないものだし、そういう薬を飲むことに対するリスクとかそういう忠告ではなく、薬を飲むにあたって、こういう状態であるとよいみたいな忠告を受けたかった。
もしかしたら、実際に自身で薬を服用したことがないため知らなかったのかもしれない。
この薬を飲む時は目を閉じていた方が良いということ。
もし、目を開けていると目の情報は残り、多彩な情報量があるため永遠に飽きるのに猶予があるのではないかとも思っていた。
しかし、そうではなかった。
完全に同じ、時が止まった世界で自分自身が身じろぎ一つできない状態での景色は少しは楽しみ続けられるものの、思考に対してのノイズになる。
私は目を開けたままこの状態になっていて、永遠の時間ではなく、この止まった景色に対しての強い飽きが発生している。
目を閉じていれば、もっとノイズのない状態で純粋な思考に没頭することが可能だったのではないかとも思える。
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