第1723話:ジュレテ・イフト~突然変異~
「この魚をどこで……?」
「ん? 普通に漁をしてたら引っかかったんだが……、何か気になることでも?」
「もちろんだとも、この魚はフェウスという品種なのだが、それも突然変異種なんだ」
「突然変異ぃ?」
「そう、通常の個体とは違った特徴を備えて生まれてくることがあり、進化のきっかけになったり、環境に適応できずにすぐに死んだりする」
「ほぉー、つまりこいつがその突然変異種ってやつで、進化のきっかけとかになったてことから学術的に価値があるってことかい」
「いや、逆だよ。学術的に価値があるのは確かだが、この特徴が残ったことは私の知る限りではない。当然、私が向こうの世界で死んだ後に生まれた個体だろうから、後の世で大繁殖する可能性もあるが……私の知っている限りの環境ではこの特徴を持っていると逆に生存に不利になる」
「はぁ……、それでもどうして価値が?」
「そりゃあ、生存に不利になるはずの形質を持って生まれてきたのに、この大きさになるまで成長できたってことは、この世界の子の個体が育った海にはこの形質でも生き残れる環境があるってことだろう? さぁ、教えてくれ。この個体とセットでなら言い値で買いとろう」
「いや別にそうまでしてくれる必要はない、情報も別に隠してるわけじゃないからやるよ」
「本当にいいのかい?」
「ああ、別に俺にとっての価値は大したもんじゃないからな」
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