第1711話:イプル・キック~歩いていく~

「次の町までどれぐらいある?」

「そうだなぁ、大体三日ぐらいってところか」

「遠いなぁ、なんでそうも離して町を作ったんだろう」

「そりゃあ、そこが人の現れる場所だからだよ」

「なるほどなぁ」

「そしてワープゲートがあるため町と町の間は道はほとんどないってことだ。数千年前に使われてた道の痕跡らしきものがわずかに残るのみって感じさ」

「なんで私たちはその間を歩いて旅してるんですかね」

「ワープじゃ町と町の位置関係がわかりづらいって言ったのは君だろう、車もダメだと言ったのもね」

「それはそうなんだけどさぁ、まさか即日用意して歩き出すことになるとは思わなかったよ」

「それを今更になって言い出すともね」

「最初の方は全然大丈夫だったんだよ、こんなもんかとさ。しかし、さすがに三日間歩き詰めとなると話は変わってくるわけで」

「本当、今になってって感じだよ。三日歩いて、残り三日の地点で言い出すなんてさ。それじゃあもう進んでも戻っても同じ、なら進むしかない。本当のことを言えば、二日目までに音を上げたら帰るつもりだったんだ、同じ距離歩いてね」

「それでもあと一日は歩くことになってたわけじゃん」

「そうさ、それでどうする? 今から歩いて戻るかい? 三日かけて」

「同じ三日歩くなら進むよ、そりゃあそうでしょ……」

「よし、じゃあ行こうか」

 結局その会話をしてから六日かかった。三日経ってから再び「このペースだと今が半分だ、あの時からね」という話をされたのだ。

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