第1710話:テライ・ウォート~超重量級~
「さぁさぁ、誰か挑戦してみないかい?」
そうやって人を集めているのは武器屋の店主。
その後ろにあるのは超巨大な鎚、それを持てる者に好きな武器をプレゼントするという名目で人を集めている。
巨人が持つにしてもでかい、そしてここは割と標準的な人間向けの武器屋だ。
あの鎚を持てる者などいるはずもない。
それでいて、武器屋は持てる者を探している。
客引き用の張りぼて的なものだろうかと思いながら見ている人が多いだろうが、店主はやけに必死で人を呼び込もうとしている。
それもそのはずだ、遠巻きに見ているだけではわからないだろうが、あの鎚は店をふさぐように置かれている。
店主が置いたものではなく、何者かに置かれたものなのだ。
その結果、誰も店に入れなくなってしまったので誰かそれを動かせる者を探しているというわけだ。
「誰かいないか? 普段なら力自慢が闊歩しているじゃないか、誰もこの鎚を持ち上げられないのかい?」
本当に必死だ。
まぁ、普段から嫌われがちな店だったしな。
やばいやつの恨みでも買ったのだろう。
事情を知らない人が何人か挑戦しに行ったが、持ち上げられるものはおらず、持ち上げられそうなやつは軒並みあの店主のことを嫌っているため名乗り出ない。
それこそ、彼らの仕業なのかもしれないな。
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