第1707話:ペーロル・ウィンダ~得意技~

「お前に俺の持っている技能を教えてやる」

 突然何もない部屋に呼び出されて、そう話を切り出された。

「技能を……?」

「ああ、世界によって表現は違うかもしれないが、スキルとか特技とかそういう奴だ。教えてもらえればその技術を扱えるようになるという奴なんだが……、改めて説明しようとすると、当たり前の話過ぎてなんて言えば知らない奴に伝わるかがわからんな……」

 なんのことかはわからないが、何らかしらの技術を教えてくれるということらしい。

 武術の型とかだろうか。

「よくわからないですけど、教えてくれるっていうなら、教えてください」

「よし、いいだろう。そこに立て、もう一歩右だ、そうそこ。位置はまぁ重要じゃないが、形としてな」

 大雑把に位置を指示され、その通りに立つ。

「これで何の技能を教えてくれるっていうんですか」

 訊ねても答えてくれず、目を瞑ったまこちらにてを向けている。

「よし、伝授完了」

 そのまましばらく待って突然目を開けたと思ったら完了を宣言された。

「え、何も教わってないですけど」

「いやいや、もう教えたさ。試しにこれ使ってみなよ」

 渡されたのは初めて見る武器。

「いやいや、使えませんよ」

「いいから、ほら」

 そうやって押し付けられた武器を適当に振ってみる。

「使える……」

「そういうものなんだよ、技能って」

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