第1699話:フエレット・カッツ~ショートカット~
「地図だとこの辺なんだけど……」
噂ではこの辺りに隣町に向かうためのショートカットがあるはずなのだが……
ただの袋小路に見える。
やっぱりショートカットというものはそういうところにあるものなのだろうか。
きっと隠されているのだろう、空間の歪みみたいなものだろうから、気軽に利用できるとしたら危険故に隠されているのかもしれない。
そんなものの情報が噂で流れてていいのかと思ったが、そう想定できるってだけだし、噂を止める手段なんていうものは存在しない。
おっと、思考が逸れた。
今は噂のショートカットを探さねばならない。
この辺りが怪しいかという場所を一つ一つ触っていく、行けばわかるだろうと場所の噂しか聞かずに開き方の話を知らずに来た結果がこれだ。
呪文やアイテムで開錠されるタイプの隠蔽が施されていたら本当に見つからないぞ?
噂で広まるぐらいだから、その場でどうにかできるパズルみたいなものか、入手が容易なもの、呪文の類だとは思うが……
しばらく探し回ったが特に何も見つからない。
鍵があるならあるで、それを使う場所も目印になるようなマーカーも、計測機に映る空間の歪も。
噂は噂でショートカットは存在しないということか、いや……少し様子を見よう。
誰かが使っているところを押さえれば、使い方もわかるだろう。
そうやって息をひそめて隠れていると、一人やってきた。
きょろきょろと周りを見回し、数歩歩いて行ったり来たりをして何かを確認している。
ショートカットを使いに来たのだろうか。
少し下がってから、一気に壁に向かって駆け出して思いっきり、跳んだ。
私も慌てて飛び出し、彼が跳んで行った方を見ると隣町、高いビルが多いこの町でビルの切れ間に吸い込まれていった。
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