第1689話:テズ・ヨロリド~説得力ゼロ~
「というわけなんだよ」
「それ説得力ゼロですよ」
「え!?」
「いやだって、まず前提としての情報が嘘じゃないですかそれ」
「いやいや、別に嘘ではないよ。私が今朝見た夢から思い出した話というだけの話で」
「だから、話のベースが夢なんですよ、土台が紙できてる上にコンクリでビルを建てて崩れないなんてことはないんで、せめて紙の土台の上には紙で話を盛ってください。それならはいはい、そういう夢の話ねって言って流せるんで」
「いや別に、夢を見て思い出しただけで夢を前提にした話ではないよ。事の起こりは数週間前に遡るんだが……」
「じゃあ最初からそうやって話してくださいよ。もし、しっかりとした構造の土台が作れるとしてもそれを使わないなら説得力は皆無なんですよ! 間に夢で見たって入れるだけでしっかり構造が組まれた話でも土台の素材が紙になるのわかります?」
「……?」
「私が「こないだおいしいご飯屋さん見つけたんだ。目を覚ました後に現実でも行ってみよ~!」って話してきたらどうです?」
「説得力がなさすぎる……」
「そういう話ですよ、この話なら紙の土台の上に藁の家を建てるぐらいの説得力ですけど、さっきあなたがした話は夢を間に噛ませたことで紙で作った土台の上に城を建てるが如き暴挙でしたからね?」
「実際夢の部分を抜いたら?」
「うーんそれでもあなたは話下手なので乾いてない粘土の土台の上に城ぐらいの説得力ですかね……」
「説得力のある話は難しいな……」
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