第1688話:オルヴェ・ケイルー~誤字~
「これ、なんか変じゃないですか?」
「ん、どれどれ? ああ、たぶん誤字だな、どうするか……」
「直してはいけないのですか? こうもあからさまな誤字ならば直してしまってもいいでしょう」
「ダメだ、万が一のことがある。もしかしたら意図的なものかもしれない。ダジャレとか」
「ダジャレ」
「そうだ、ダジャレだ。こういう論文の中に細かいダジャレを仕込む人がいることもある」
「そんな……、校閲しようがないじゃないですかそれじゃあ」
「一応、本人に確認を取ればいいだが……、大抵は認めない。なぜなら論文にダジャレを仕込むようなふざけた人間であることを認めてはくれないんだ」
「なら直してしまえばいいのでは……?」
「黙って直したら直したで気分を損ねられてしまう。二度と内に校閲を依頼はしてこないだろうな」
「そんな……」
「だからな、まずはこの誤字がどこかにかかっていないかを念入りにチェックして、もしここにかかっていそうだというのが見つかったらそれを踏まえて第一チェック稿を返す、その際に気づきましたよという含みも持たせることが大事だ」
「めんどくさすぎる……」
「もし、どこにもかかっていなさそうだった場合は修正してかまわないよ」
「それが、複数あった場合は……?」
「全部に同じことをすることになるね。丁寧に」
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