第1658話:ルグルト・ヴィバー~全力ダッシュ~
「もっと速く走りたいんですよね」
「それ、本気で言ってる?」
「もちろん、競技者がもっと速くなりたいと思うのは自然じゃない?」
「それはそうなんだけど、何を目標としてそう思ってるのかと思って。だって、あなたはもうこの世界の最速のスプリンターで短距離にも、ライバルになるような相手は一人もいなくて、長距離だって負けなしで、一説では本気を出せば光と同じ速さでも走れるというあなたが、いったいもっと速く走るっていうのはどのレベルを目指しているのかと思ったのだけど」
「確かにその評価は正しい。もちろん光の速さで走ることはできるし、記録できないのとテレポートの能力を疑われるから普段は認識できる程度の速さに抑えていることは事実なのだけど、私はもっと速く走りたい」
「まぁ、上を目指すのは悪いこととは言わないけれど、光と同じ速度で走れるあなたが、次はどのレベルの速さを目指すのかと思って」
「それは決まっている」
「お、何を目指すつもりで?」
「速さという概念に私の名前が併記されるところを目指そうと思う」
「一部の辞書や言語体系ではヴィバーが速い様を表す単語として記録されてはいるみたいですが……」
「え、本当に?」
「ええ、見たことありますよ。……ところで、本当に光と同じ速さで走れるなら、ちょっと走るところを見せてもらってもいいでしょうか?」
「いいけれど、衝撃波で死にますよ?」
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