第1640話:ペーデ・フロウシア~サラミ泥棒~
腹が減ったな……」
棚を開けて、適当に食べれそうなものを探す。
これでいいかと取ったのは量産品の弁当。
棚を閉じて食べる。まぁまぁの味だな。
さて、今日はどうしたものかな。
棚を開いてとりあず外出着をと思い探してみるも、さすがにバレそうなものが多い。
服は他のものに比べてバレるリスクが高くて慎重にならざるを得ない。
これならバレなさそうだなというものを探しだして、棚から取り出して着る。
外へ散策に出て、胸を張って歩く。
バレないかと身を屈めて歩いていると、そちらの方が怪しく見えるものだ。
堂々と歩いていれば、向こうも声をかけるかどうか迷うというものだ。
「あの」
「はいなんでしょう?」
おっと、声をかけられてしまった。
ここでも堂々と返答する。
しらばっくれるのに最も大事なことだ。
「その服……」
おっと、この服に気づかれてしまったか?
「かっこいいですね」
気づかれれないようだ。
「どこで買ったんですか?」
おっと撤回、気づかれているのかもしれない。
しかし、動揺を悟られるわけにもいかない。
眉一つ動かさずに、答える。
「うーん、どこだったかなぁ。忘れちゃったな、ごめんね!」
実際、どこの店で取り扱っている物なのか知らないのだ。
棚にあってバレにくそうだったから着てきただけなのだ。
「そうですかぁ。実はさっき、その服と同じものが盗まれたっていう話がありまして~探してるんです」
「へぇ、物騒だね」
「まぁ、さっき盗んだばかりのものを今着て歩いてる人がいるわけありませんからねぇ、疑ってすみません。ではまた」
「うん、頑張って探してね」
危ない危ない。
一応、家の辺りの監視カメラでも見てもらえば盗まれた直後の時点で着て家から出てきていることを証明できるだろう。
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