第1626話:ケーティ・イチク~闘技場~

「次の試合はランク上位とだ。勝てばランクアップ、負けたら最初からやり直しだ。しかし、進退を賭けている感を出して盛り上げるためとはいえ最初からにすることはねぇよな」

「いいんだよ、負けないから。最初からになっても登る速さは前よりも速いし、またすぐに上ってこれる。かわいそうなのは僕よりも下位ランクの人たちかな。また僕闘わないといけないってことだし」

「そいつもそうだ、まぁこの挑戦権自体が上に勝てる見込みで出されるもんだし、負けないよな!」

「もちろん」


「負けたー!!!」

「すごい負けっぷりだったな、びっくりしたぜ。油断させる作戦なんじゃないかってほど殴られて負けてたけど、大丈夫だったのか?」

「大丈夫、しかしさすがに上位ランカーは強いな。勝てる見込みがあって挑戦させてもらえるなんて驕りもいいところだった」

「まぁ、さっきも言ってたし、またすぐに上がってこれるさ。頑張ろうぜ!」

「ああ、もちろんさ」


 そうして、控室には僕一人になった。

 今回の試合、僕は勝つ気は最初からなかった。

 上位ランクは魔境だ。

 昇格戦で戦うのはもう上位ランクでは戦えなくなった者、勝ち目があって挑戦させてもらえるというのも間違ってはいないが、勝てば魔境の最下位スタートということになってしまう。

 僕は闘うのは好きだが、そんな魔境の最下位で闘うなんてごめんなんだ。

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