第1618話:ジュミ・レイシャル~無い怪異~

「最近ちょっと不思議な体験をしたんですよ。聞いてくれます?」

「かまわないよ。どんな?」

「この世界にはないはずの怪異現象に遭遇したんです」

「へぇ、それは不思議な話だな。具体的には?」

「事の始まりは不思議な子供に話しかけられたことなんです、いろいろな世界の怖い話を集めているっていう……」

「なるほど」

「私は昔の世界のいろいろな怖い話をして、この世界ではありえない状況が舞台の話をし始めたところでおかしいことが起きたんです」

「どんな?」

「ちょうど舞台の話が終わった時なんですけど、今までは聞くに徹していたその子供が「そういう舞台なんですね、それはあんな場所ですか?」って言って私の後ろを指さしたの、そしたらそのこの世界にはないはずのものがそこにあったんです!」

「なるほどね」

「それで私、怖くなっちゃって逃げだしちゃったんですよ。どう思います?」

「逃げ出さずにその続きを見てきた話が聞けたらとてもよかったなぁと思いました、まる」

「えぇ~! 絶対あの子供が怖い話に出てくるような存在ですよ~! そのまま話し続けたり出てきたやつを使っちゃったりするときっと私もその怖い話の一部にされちゃうにきまってます」

「それはどうかわからんが、まぁよく話を持ち帰ってきたな。ちなみに、この世界にないはずのものってのは何だったんだ? 大抵のものならあると思うが……」

「私の母校の卒業アルバム……。代々うちの学校に伝わってる卒業アルバムに纏わる怖い話をしようとしてたから……」

「それはさすがにこの世界にはないな……」

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