第1604話:ハーゲ・ハッスィ~足元~

 足元から何か聞こえてくる。

 そう感じて下を向く、ああこの辺りは集落があるのか。

 うっかりして踏み込んでしまったな。

 家や人を踏みつぶさないうちに離れないといけない。

 うっかり踏みつぶすと小さな人たちは怒り狂って襲い掛かってくるんだ。

 そうでないうちは神として崇めてくれたりもするのだが、なかなかにスケールが違う付き合いは難しい。

 特に前に住んでいたところは僕らとの付き合いに慣れていて短い生涯をうまくやり過ごしてくれたりしたのが、こちらの人はそうでもない。

 俺がこの世界に現れてから、何度も衝突して何度も集落を滅ぼしかけてしまった。

 折衝担当の人もいるが、世代替わりが頻繁であまりいい人が続かない。

 長命な人に折衝担当に就いてほしい……

 引継ぎがうまくいかなかったときは寝床に櫓を立てられたこともあったし、討ち滅ぼすべき対象として討伐隊を組まれていたこともあった。

 そのたびに話せるようであれば話し、話が通じないようであれば焼き払う等した。

 そうして、私の平穏を維持していたのだが……

 そろそろ、こちらが主導権を握って集落が世代交代する度に顔見せと約束事の再確認に出向いた方がいいのかもしれない。

 次の世代に移り変わったらそうすることにしよう。

 そう考えながら飛び立って、寝床へ向かう。

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