第1599話:フップ・カルジュ~永遠の輪~
「永遠に回り続ける輪があるという話を聞いてきたんだけど、それはどこに……?」
「永遠に回り続ける輪ですか? 聞いたことがないですね……。本当にこのあたりにあるって話なんですか?」
「この辺の名物だと聞いてきたんだが……。聞いたこともない?」
「ないですね、んん……もしかしたら5区に住んでるタルトルさんなら知ってるかも……」
「5区のタルトルさんね。ありがとう」
「いや、聞いたことはないな。私に聞くよりは2区の……」
「俺よりは8区の……」
「知りませんね、9区によくいる……」
そんなこんなでいろいろな推薦知識人の元をぐるぐるとたらい回しにされてしまった。
そうして気づく、このあたりの永遠の輪とは、このたらいまわしのことを言うのではないかと。
この辺りは知識人が多く住んでおり、それぞれが他の知識人を尊敬しているため知らぬことは他者に投げる。
そうして推薦知識人の間をたらいまわしにされ、永遠に尋ねて回り続けるのが永遠の輪であるということだろう。
なるほどなぁ、いや、なるほどではない。
せっかく来て永遠の輪を永久機関の核として使おうと思ったのだが、こういうエネルギーの取り出せない皮肉としての永遠の輪だとは思わなかった。
という話をこれで最後にしようと思った知識人に話すと「永久機関の作り方なら知ってるよ」と言われてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます