第1598話:ホウホウ・カルディコ~暗黒存在~

「というわけで私があなたの暗黒存在なわけ」

「どういうわけで……?」

 突然私にとてもよく似た暗黒存在を名乗る人が現れた。

 何も心当たりがない、私自身は清純清らか純白という言葉で修飾されることが多々あるぐらいには暗黒という言葉と縁がない。

 そんな私の暗黒存在だという、まったくどういうことだろうか。

「そういうとこよ、あんたが清純清らか純白という言葉で修飾されがちなほど暗黒という言葉と縁がないのは早い段階で私という暗黒存在が分離してたから、そういう要素を持たずに成長できたってわけ」

「なるほどね? でもそういうことならあなたは私が本来持つ暗黒要素をすべて持っているということでは……? それは結構苦労したんじゃない?」

「いえ、別にもとよりあなたが持つ暗黒要素は微小なものでしたので、私の暗黒度は一般人のそれと同じぐらいですね」

「なぜ?」

「むしろ、あなたが私の純白存在と言うに相応しい存在なのです!」

「確かに、あなたが一般の人と同じぐらいで、私が純白というのならそういうことになるね」

「そうその通り、つまり私がここに来た理由は復讐……! 純白存在であるあなたを本体として扱い、真に本体にふさわしいはずの私をないがしろにしたことへの復讐!」

 なるほど、確かに一般の道徳倫理を持った状態で暗黒存在として私の影で生きてきたとなると、それはそれは大変な人生だったことは想像に難くない。

「償いとして成立するかはわからないけど、私と立場を交代してみる? 幸い顔立ちはよく似てるからちゃんと打ち合わせをすれば可能でしょ?」

「いや、嫌よあんたの代わりは。もう清純清らか純白の修飾が板に付いてるところに私みたいなのが据えられてもすぐにメンタル壊すわ」

「そっか……じゃあどうしようか?」

「どうもしなくていいわ、しばらくあんたのところで世話になるだけ。あんたに暗黒成分を徐々に返して、今の立場に似つかわしくない存在にしてやるわ。気づいてる? 私と対面してから口調が純白系とはずれてるってことに」

「……そういえば!」

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