第1498話:シェリ・ガーディ~夜の存在~

「やぁ、この辺りでは見かけない顔だね」

 夜、眠れずに外へ出て出会った最初に出会った老人にそう声を掛けられた。

「いえ、この町に住んでいるんですけど」

 かれこれこの町に住み始めてもう10年にはなるだろうか、近所づきあいも多い方で、交流があるないにかかわらずだいたいの人は見たことがあるはずで、他人の顔を少なからず覚える人には顔を覚えられている自身はある。

 そんな俺がこの老人のことは見たことがない。

「そうかい、じゃあ夜に出歩くのは初めてということかな。私はこの辺りの時間にしかいないから」

 ああ、確かに夜に出歩いたことはめったにない。

 夜には夜の人がいるということかな……?

「まぁ、夜を楽しんでいくといい」

 ? 変な老人だ。

 話が終わったであろうことを確認する軽いお辞儀をしてその場を去る。


「あれ?」

 街の方に来たが人が結構いる。

 夜っていうのはもっと人が少ないものだと思っていたが……

 少なくともよく交流がある人たちは夜に眠っていて出歩いていたりはしていないはずだ。

 それなのに、夜中にこの人数が街を出歩いているというのは何か不自然だ。

 そして

(見かけない顔ばかりだな……)

 そう思うぐらいには見知らぬ顔の人ばかりだった。

 知らなかったな、夜にしか出歩かない人たちってこんなにも多かったんだ……

 昼間はいったいどこにいるんだろう……

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