第1497話:イクア・ジンビ~弱体付与~

「身体能力で劣る相手に勝つにはどうしたらいいか」

 無法の身に落ちてきた彼女をこの世界で生きていけるように鍛えることになった。

「体を鍛える?」

「単純すぎる、鍛えているのを相手は待っていてはくれない。正解は環境等を利用して身体能力に拠らない勝負に持ち込むことだ」

「あぁなるほど! 毒を盛ればいいのですね!」

「間違ってはいないが……、君は極端だな」

「私、毒の扱いなら自信があるのです!」

「まぁそうだろうけどもさ……」

 彼女の元の職は薬剤師だった。

 事件の内容は語ると長くなるので割愛するが、彼女は毒の扱いに長けていたことに起因した事件の結果、追放された。

「師匠師匠、どういう毒を使うのが効果的でしょうか! やはり即効性の麻痺毒で呼吸を止めるのが良いでしょうか?」

「殺すのはできるだけやめておきなさい、卑怯な手で勝つと恨みを買うから……」

「え、でもそれは最初に言った、環境を使うという話と違うのでは?」

「いやいや、バレないようにやるんだよ。多少相手の調子を崩す程度でいい」

「うーん、じゃあ遅効性の下剤とかかなぁ、あとは弱い痺れ薬とか?」

「そうそう、そういう物をうまく使いなさい」

「なるほど、勉強になります!」

「まぁ後はバレないような盛り方を考えましょうね」

「針とか霧とかですかね?」

「結構あんたはやっていけそうな気がするわ」

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