第1494話:フィルディ・バステ~知らないこと~

「*****ってどう思う?」

「え、えーと……」

 *****? 知らん……。

 なんだそれは……、知らん人に知らんものの話題を振られた……

 どうしたらいいだろう?

「*****ですか? なかなかいいと思いますよ……?」

 とりあえず、知ったかぶりをすることにした。

「おお、あなたも*****をいいと思いますか。 やはり、*****ですよねぇ、私はやはり肌触りが好きなんですけど、あなたはどんなところが?」

「あ、あーうん、えーっとですね」

 肌ざわり? 肌ざわりが良い?

 そういう類の物?

 だとしたらどういう感想を話すのが適切だろうか。

「そうですね、私も、肌触りが好きですね……」

 そう、丸乗っかりだ。

「だよね! やっぱり*****は肌触りがいいのが最高だよなぁ!」

「ですよね!」

 よしセーフだ、まず一つめクリア。

 だけど、ここで一回外して会話を終わらせるべきだったかな?

 そうすればこうやって頭を悩ませて会話を続ける必要はないわけだし……

「いやぁ、なかなか*****の良さがわかる人には出会えませんから、うれしくなっちゃったね」

「あはは、ですよね……」

 実際私も良さなんてわからないどころか、それ自体を知らないんだから、内心気が気ではない。

「まぁ、*****自体存在しないもので、良さがわかる人なんているわけがないんですけどね」

 な、なんだとぉー!?

 だまされた……!

「しかし、あなたはずいぶんといい人ですね。こんな何かもわからない話に付き合ってくれるとは」

「で、でしょう?」

 内心バクバクではあった、この人はなんて趣味の悪い遊びをするのだろう。


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