第1465話:フレップ・ソト~よ~

 字が浮いている。

 目がおかしくなったことを疑ったが、先に世界がおかしくなったことを疑った方が早いことに気づく。

 ここはそういう世界だ。

 あの文字は見たことがある、どこかの世界の文字で「よ」という字だ。

「よ」が浮いているのだ。

 何の意味があるのかはわからないし、わかる人が見たらわかるものなのかもわからない。

 しかして、こういう人の意識が介在する怪現象には往々にして何かの意味があるものなのだ。

「よ」が浮いているという状況に一体どういう意味があるのかはわからない。

 この周囲に僕以外の人は存在しないので、きっとこれは僕の意思に感応してでてきたものだとは思うのだけど、心当たりがない。

「よ」という文字は知っているが、それに特別な思い入れがあるわけでもないし、それこそ「い」や「そ」と同列なものとして認識しているのになぜ「よ」だけが浮いているのだろう。

「よ」が浮いていることの意味、何かの予言、お告げの類なら「よ」だけが選ばれて浮いているのにも意味がありそうだ。

 これなら特別視してるしてないにかかわらず「よ」だけが浮いているのも納得がいく。

 さて、予言の類だとして浮いている「よ」にはどういう意味があるのだろうか。

 考えてわかるものだろうか。

 予言というのも往々にして後からあれは予言だったのだと意味を付けるものなのだし。

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