第1460話:フレバイ・ガリドル~平和の維持~

「平和を維持するというのは、ずいぶんと労力がかかるものだ」

 かつて俺を育てた男はことあるごとにそういったことを言っていた。

 その男は、ある日突然小さないさかいに巻き込まれて争いの日々に巻き込まれて、死んでしまった。

 最後の最後まで同じことを言い「疲れてしまったからなぁ」と続けていた。

 彼に言わせれば、彼の生活から平和が失われてしまったのは彼自身が怠けたのが原因だということだ。

 程なくして俺も争いの中で死に、この世界では彼に会うこともなく、一人で平和に暮らしている。


 争いの中に身を置いた時間が長かったので、平和を望む気持ちが多くあり、人を避けて森の奥で暮らすようになった。

 今は努力の甲斐あって、平和に暮らしている。

 おっと、何かが来ているな……

 木の上に作った小屋から少しだけのぞかせて様子を見る。

 外敵、経験上あの見た目の者はこちらを害する意図があるような気がする。

 仕方ない。

 相手側からは視線が通らないようにしてこっそりと小屋を出る。

 木の中を隠し通路にしてあって各所の茂みに抜けられるようになっている。

 そこを見つからないように通って、後ろを取る。

 かなり準備はしていてもどうにも大変なことだ。


 やはり平和な暮らしを維持するのは大変だな……

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