第1459話:ペルチロ・ラウラス~贈り物~

 誕生日だというから、日ごろの礼も兼ねてクマのぬいぐるみをプレゼントした。

「ありがとう、うれしいよ。そうだな、今度は君の誕生日に何かプレゼントしよう」

「いいよ別に。しかし、そんなに抱きしめるなんてらしくもねぇ。そんなにぬいぐるみが好きだったのか?」

「ああ、別にぬいぐるみが好きというわけではない。もし私がぬいぐるみを好きで集めるのであるならば、この部屋には人の住む場所などこのクマの大きさ程もあることはなかっただろうね」

「それは知らん、じゃあなんでそんなにうれしそうなんだよ」

「ふふふ、君は贈り物というものの本質を何もわかっていないようだな」

「なんだよ、要求されて渡した贈り物に本質も何もないだろ」

「わかってないなぁ。この場合は私の要求に対して君が選んで私に贈ったということがポイントだ」

「わからんが」

「わからないならわからないままでもいいが、もう一つだけヒントだ。贈り物はなんであれ、贈る側が贈られる側のことを考えて選ぶものだろう?」

「それはそうだが、つまりお前はお前の頼みで俺がお前のことを考えて物を選んだからなんでもうれしいってことか? 思った通りに動いたから?」

「うーん、70点ってところかな」

「わからねぇ、お前はいつもそうだよ。わからねぇことばかり言いやがる」

「仕方ないなぁ、やっぱり君の誕生日には何か贈ることにしよう。そうしたら何かわかるかもしれないよ?」

「まぁ、仕方ねぇ。それでわかるって言うのなら、もらってやるよ」

 何を贈ってくるんだか……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る