第1425話:ホウレ・ポーア~長期連載~

「いつまで続けるつもりだい?」

「何が?」

「この連載、かれこれ何年だっけ? もう200年ぐらいやってる?」

 この地に根を張ってひたすらに文字を書き続けてどれだけだっただろうか、確か……

「いやまだこっちでは150年程だよ、まだまだ書くものはいっぱいある。できるうちは続けるよ」

「辞め時を見失ってるだけだったりして」

「……そんなことはないさ」

 終わり方というのは考えてある。

 まだそこまではたどり着いていない。

 この生きている間にたどり着けるかどうかはわからないが……

 誰かに託しておくべきだろうか。

 しかし、ここにいるのは僕と書かない彼女だけだ。

「あ、図星なんだぁ。だって別に見てる人もそんなにいないのにこんなに続けちゃってさ」

「追い続けてくれてる人も少しはいるよ」

 たまにファンレターが届く。

 彼らなりの解釈で描かれた文字なので読めないことが多いのが残念だが。

「少しじゃん」

「たとえ見てる人が0だとしても僕には書くことが必要だから書き続ける、それだけさ」

「どうなったら必要なくなるのさ」

「それは……、死んだとき、と思ったんだけどこうやって死んでからも続いてるしね。いつまで続けるだろうか」

「早く完結してやめちゃえばいいのに」

「君は読んでくれているだろう?」

「そりゃあね、書かれた文章は無駄にしたくないもの」

 なんだかんだ言いながら最初から最後まで読んでくれるのは彼女なんじゃないかと思っている。

 読んだと言って僕の元へ押しかけて来たようなのは彼女が初めてのことだしね。

 彼女が死ぬ前に書き終えることができればの話なんだが。

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