第1419話:レグロイド・フワブル~ 穏便にしたい~

「なるほど、そういう話ですか。あなたの言いたいことはわかりました」

「わかっていただけましたか! では、私の考えを支持して協力していただけますね?」

「いや、それは……」

「なぜですか! こんなに真摯に頼み込んでいるというのに……」

 あぁ、泣き出してしまった。

 正直こういう人は苦手だ、感情が先走っていてこちらの話を聞いてくれない。

 そもそも、どこで僕のことを聞いてここに来たのだろう。

「あー、えぇとですね、僕には余力がなく、あなたの言うことに協力はできませんが、理解はできます。また、いつか余力があるときにでも、お話させてください」

 まぁ穏便にこの場をやり過ごす方便のような物だけれど、嘘は言っていないはずだ。

 いつまでたっても彼に協力するような余力が出るようなことはないだろうが……

 これで帰ってくれるといいんだが……

「余力がないなんてそんなことを言わないでくださいよ、何でも屋さんでしょう?」

 ああ、そういう勘違いか。

「いえあの、何でも屋とは言いますが、僕はですね、いろんな雑務のお手伝いをさせてもあってはいますが、さすがにこの「無法の町に法律を作るために協力してほしい」なんていう話は身に余るんですよね」

 最初この話を切り出されたときには何を言っているのか、と理解するのに少し時間がかかったものな……

 どうにも認識が違うらしいが……、どうしたら帰ってもらえるだろうか……

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