第1412話:フェイカラ・フタリベオ~整列~
「これ連番になってないじゃあないか」
棚に並んだ本を見るが、番号がバラバラになって並んでいる。
「誰がこんなことを……」
めんどくさいじゃないか……
並べ替えの方法を考えてさっさと並べ替える。
うん、1から順に並べきったぞ。
やはり並び順が綺麗だと良いぞ。
「なんでだ……?」
翌朝来てみるとまた順番が変えられている。
機能より最適化したアルゴリズムで並べ替え直す。
よしよし、最適化オッケー。
しかしいったい誰が何のために並び替えてるんだろうか。
明日また並べなおされていたら少し考えてみよう。
「やっぱりか……」
今日も並べ変えされていた。
昨日メモした順番と見比べてみると同じ並び方だ。
何かの暗号だろうか。
しばらく考えたり、番号の規則性を読み取ろうとしてみたが何もわからない。
手の込んだいたずらと思って諦めるまで地道に直し続けることにしよう。
「飽きずによく続くな」
あれから数日経ってもまだ入れ換えは続いていた。
根比べみたいになってきているが俺は間違ったことをしている訳じゃないのでいくらでも続けられる。
しかしいったいどんなやつがこんないたずらをつづけているのだろうか。
顔をみたくなってきたので空いている一日を使って入れ換えの現場を押さえることにする。
「あいつか……」
閉館の時間まで張っていると1人あの棚の前で立ち止まった。
並びが正されていることに気づくと「またか」と呟き、本を並び替え始めた。
なにが「またか」だ、それはこちらの台詞だぞと想うと同時に彼の顔はどうにもいたずらをしているようには見えない。
自分では見たことないが、並びを直している時の俺もあんな顔をしている気がする。
「もしかして」と思い当たったことを調べる。
あの巻数が並び替えられる本の巻数表示の数字が思っていたものと似たような形の、それでいて並びが違うものだということに気づいて今必死に並び替えている彼になんと声をかけようか考えることにした。
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