第1407話:カバリ・ゲイン〜何故か名が知られている〜

「あんたがかの大戦世界の伝説、カバリ・ゲインか」

「そうだが……、何か用か?」

 たまにこういう輩に絡まれる。

 なんでも、俺が生きていた世界はこの世界の戦好きなら誰でも知っているレベルで時代選ばず常にあらゆる場所が戦場であったと言われていて実際そうであるのだが、俺はそこでいつの間にか名が上がっていたらしい。

 確かにかかって来る奴を全員返り討ちして結局死ぬまで誰に殺されることもなかったが、きっちり全員トドメを刺して埋めたから全然名は上がらなかったはずだが……大抵のやつは偶然遭遇したから襲ってきたという感じだったし……

 この世界に来てからやけに俺の名を知ってる奴に襲われる。

 一体どういうことだろうか。

 無駄な火の粉は払うより避けたいんだ俺は、1人殺さずに話を聞いてみることにしようか。

「というわけなんだが、話を聞かせてもらえるかな?」

 先ほど襲いかかって考え事しながら返り討ちにした、もう膝も付いているし顔も上がっていない、戦意というものがもう一片たりとも残っていないであろう状態の彼に尋ねる。

 しかし彼はフガフガと口を動かすだけで話はできないようだった。

 喋れないんじゃあ仕方ない、トドメを刺して裏の森に埋めにいくとしようか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る