第1395話:ミギシロ・フジメ~彼女の攻城戦~

「よぉーし! 全体止まれ!」

 目標とする城を前にして大隊を停止させる。

「目標! 目前の城! その城主! その確保! 行くぞー!!!」

 目標の確認をし、準備ができていることを確認する掛け声をかける。

『おー!!!』

 それに呼応して、隊も雄たけびを上げる。

 いざ城攻め!


 強固な城門を打ち砕き、城内部に侵入する。

 城からの反撃は無い、予想通りだが人を集めた甲斐が無い。

 次々と城内の人間が無抵抗で連れ出されていくが、城主はいまだ確保できない。

「隊長!!! 城内を隈なく捜索しましたが城主は発見できません! 捕らえた者共に尋ねても知らぬ存ぜぬでダメです! 拷問をしますか!」

「拷問はダメだ、あいつのことだから城のどこかに隠れていると思うが……、本人以外は知らない隠し部屋があるんだろう。」

 城の誰も所在を知らないとなると、隠し部屋の入り口は寝室にありそうなものだ。

 定番は本棚の裏か……クローゼットの裏、壁の一部が開く……

 あいつが好きそうなギミックを想像する。

 うん、どうせ中にいるときは内側からしか開かないだろうな。

「仕方ない、今回はもう諦めよう。今度出席しなかったら城を打ち壊してでも連れて来いとセンセイから言われていたからな。従者は全員外へ連れ出し、城を崩すぞ」

 最終手段だ、とその内容を発言した直後にベッドの下が開いて彼女が滑り出して来た。

「ちょっと待ったぁー!」

「よし、確保だ」

 一緒に寝室を捜索していた隊員に指示を出し彼女を捕らえる。

「もう少し抵抗してくれていたら模擬攻城戦として有効だったんだが……、もちろん隠れていたら解体工事の演習として有効だった」

「ぐぬぬ、誘いだすための嘘だったのね」

「いや、本気だった。そう思ったからこそ出てきたんだろう?」

 目的達成、その旨を全隊員に通達し、捕らえた城の者を解放、城主のみを連れて帰還する。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る