第1373話:フシカ・ロシロ~死者の国~
「この辺のはずなんだけれど……」
渡された地図を頼りにお客さんのところにやってきたわけなんだけど、どう見てもここは墓地だ。
墓地に住んでるのかなぁ、墓守なのかな?
どうにも入ってみないとお客さんには会えないらしいので墓地に踏み込む。
空気が悪い、さっさと帰りたくなる雰囲気が漂っている。
誰もいないように見えるが、周りには人がいそうな雰囲気がある。
隠れているのか……?
たまにこうやって隠れて試すような事をしてくるお客さんもいるけど、それとは雰囲気が違うような……?
ううん、気にしても仕方がない。先に進もう。
どこかに小屋のようなものがあればそこに住んでるだろうと当たりをつけて探せるんだけれど、ここには墓しかない。
地下にでも住んでるのか?
それとも……?
「そこに隠れている人たち! 少々聞きたいことがあります! 問題なければ出てきていただきたいのですが!」
どうしようもないので、隠れているらしき人に話を聞くため、呼びかける。
出てきてくれるといいんだが……。
少しだけ辺りの雰囲気がざわついて、少し経って静かになった。
「私が答えよう」
そう言って墓の陰から出てきたのは一人の体が腐った人だ。
「ゾ、ゾンビ!?」
「そう、ゾンビだ」
そういう見た目のただの人だって言ってほしかった。
「ゾンビだが、まぁ人を襲うことはない。聞きたいこととは?」
理性的なのは助かる。さっそくお客さんのことを聞こう。
「ああ、それは私だ。頼んでいたものを持ってきてくれたんだね、ありがたい。ここはあまり設備が整っていないから」
彼だったか……
話を詳しく聞いてみると、ここは彼のような生きている死人の経験がある人が暮らしているらしい。
経験があると言ってもそれを経由しているので今も生きている死人であり、ただ生きている人の世では怖がらせてしまうからとこういう場所に暮らしているのだという。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます