第1360話:リシペリク・ライファン~怪しい生き物~
「迷った」
どこをどうしたら迷うのかわからない見知った近所の道で迷った。
というか、近所にこんな広葉樹ばかりの森は無いから、おそらく神隠しやサラワレと呼ばれる類の現象の当事者になってしまった可能性もある。
なんにせよ、この場所に留まっても状況は改善しなさそうなので、道らしい草の生えていない地面を選んで進む。
「これどこまで森なのさ……」
歩けど歩けど森の中、幸い道は続いているので迷っている感は薄まっているが、正直運動不足の体にはかなりこたえる。
その疲労のせいか、さっきから辺りには怪しい生き物が現れ始めた。
本当に生き物か? 体の一部が人工物で構成されているが、人工的に生み出された生物なのだろうか。
とするとこの空間も人工的なものというのが自然だが誰が何の目的で……
あれは蝶か……? 羽が菓子でできているように見えるが、あれで飛べるのだろうか……、疲れたし食べてもいいだろうか。
いやしかし、虫を食べるのは嫌だな、というかこういう場所の食べ物は食べない方がいいと相場が決まっている。
せめて他に迷い込んだ人と出会えれば少しは安心できるんだが……
「村だ……」
森の中を歩き続けてどれだけの時間が経過したかはわからないけど、村を見つけた。
助かった、とりあえずここがどこなのかは把握できるだろう。
「すみません、ここは……?」
村人にここがどこか聞こうと思って声をかけたが、振り返った顔はお菓子だった。
「うわぁ!?」
この村もこの世界のものだ、さっきの蝶と同じ類の生き物なのかわからない生き物だ。
この村で休んでいくのは無理かもしれない。
帰ることができるのだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます