第1289話:フビカ・リリスル~棺埋め~
穴を掘る。
大きさはさまざまだが、だいたい……そうだな、人ひとりが入る大きさの穴を掘る。
人を埋めるための穴なので、そのぐらいの大きさを掘るのが理にかなっているというか当然というか、なんだか自己言及的な話になってきたが、まぁ人を埋めるために人が一人入る大きさの穴を掘っている。
別に人を殺してその始末をしようというのではない、僕の仕事は埋めるだけだ。
「穴の用意はできたかい?」
「ちょうど終わったところだ、こんなものでいいよな」
「十分だ」
手ぶらで着崩したスーツ姿で現れた軽薄な男は俺たちの仕事の間を接ぐ役目の男だ。
穴掘り屋、これが俺だが、ここと棺屋、清掃屋、葬屋の間を走り回って埋める人間のサイズや注意するところに齟齬が無いようにする。
穴が小さすぎたり大きすぎたりしないようにする役目だと俺は思っている。
「なぁ、今回の人はどんな人だったんだ?」
「フビさんさぁ、いつもそうやって気にしてるけど、俺が答えたことあったかい?」
「いや、無いな……」
「そういうこと、あんたの仕事は?」
「穴を掘ること」
「そう、俺が伝えた通りの大きさの穴を掘ればいい。まぁ、俺も処理する奴のことなんて全然知らないんだけどな」
「そうなのか?」
「そそ、俺も依頼を受けて葬屋に投げて、あとはその処理を各所に投げていくだけさ」
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