第1271話:フラブ・アラシヤ~祖の者~

「世界初の人間を探しに行こう!」

「世界初の人間ってどういうこと? この世界に最初に来た人はもう生きてはいないんじゃない?」

「いやいや、そういうことじゃなくてね。どこかの世界での初めての人間を探そうということさ。今も新しい世界は生まれているしそれなら世界初の人類も探せばどっかにいるだろうさ」

「まぁ、それならどこかにはいるだろうけど……、どうやって探すの?」

「とりあえず駅前で「世界最初の人間を探しています」って看板持って探してみればいいんじゃないか?」

「見つからないんじゃないかなぁ……」


「見つからないものだなぁ」

「そりゃあね」

「いやいや、見つからないのにはやはり理由がある」

「単純にいないからでは?」

「いいや、確実にいるはずだ。どこの世界にも最初はあるしいつもどっかの世界は終わってるし同じような頻度でどっかで世界は生まれているだろう」

「それはそうかもしれないけど……」

「だからどこかには確実にいるはずなんだよ、世界最初の人間」

「それはどうなんだろう……」

「だけど見つからないってことはさ、たぶん自覚してないんだよ」

「というと?」

「世界最初の人間は誰が世界最初の人間だって認定するんだっていう話さ」

「つまり?」

「人間は他に人間がいてこそってことさ、人間とその前の動物を区別するにはある程度の数の人間がいないと無理だ、だから最初の人間が誰かわからない」

「なるほど、説得力がある」

「だろう?」

「人は人の間にいてこそってことさ」

「それはちょっとよくわからない」

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