第1268話:パーチャ・ギャリオン~指折り数えて~

 とある魔神が戦いの果てに「両手の指で数えられる年の後、必ず復活する」そう言い残して自らを封じ、回復に専念している穴がこの近所にあるらしい。

「それがだいたい10年前のことなんだが、そろそろ復活するのかな」

「両手の指で数えられるだけの年だろ? まだけっこう先じゃん」

「いやいや、片手5本なんだから両手で10本、10年の後なんだからそろそろだろう」

「はぁ? 片手にある指は7本だろ、あと4年もある」

 ん? とひっかかり、彼の手をよく見てみる。

「お前7本指だったのか」

「そうだよ、ていうかおまえ指少ないのな」

「普通だと思うが……、そうか出身によって指の数は結構差があるんだな。ということは何本基準何だ?」

「そりゃあ魔神の指の数だろう、何本だ?」

「知らないよ、聞いた話で直接その魔神と戦ったのは俺じゃない」

 じゃあ何年後かわからないじゃないか、話はこれで終わりかな、なんて次の話題を模索しようとした時、よこから割り込まれた。

「ああ、あの穴に引きこもった魔神の指かい?」

「ご存じなんですか?」

「ああ、僕もあれと戦ったからね」

「おー、戦士さんでしたか、すごい。ところで指の数は何本でしたか?」

「ああ、指ね。確か……、片手につき3本だったかな?」

「じゃあ6年後、4年前?」

「もう復活していなければおかしい計算では?」

「そうなんだよねぇ、僕も4年前に少し悩んだんだよ。それで気付いたんだ、もしかしたら2進数で数えたのかもしれないってさ」

「なるほど、それなら両手で6本あれば64まで数えられますね」

「そう、気付いたときはやられたなぁって思ったね。6年で復活してくると思ったら64年後なんだもんな、そのころには僕も引退してるだろうし、とんだ肩透かしだよ」

「ところで戦士さんの指は何本で?」

「僕かい? 僕は6本だよ」

 結構みんな指の数が違うんだなぁ……

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