第1234話:トゥボ-カチャ~作者よりも頭のいい~

 作者よりも頭のいいキャラクターなど書けないとよく言われる。

 しかし実際のところどうなのか、自分の書いたキャラと直接話でもして、頭脳対決でもしないとわかる話ではない。

 なので、言うだけ無駄みたいなそういう議論なのだが……

「あなたが、私を書いたと」

 どういうわけか、目の前にはかつて僕が書いたキャラが座っている。

「いや、僕が君を書いたっていうか、君が僕の書いたキャラクターにそっくりで」

「完全に初対面で名前を呼ばれ、詳細な個人情報まで言い当てられては信じる他あるまい、君が私の狂気的なファンでない限りはね」

 この話し方、間違いなく昔書いたウィロウだ……

「しかし、まさか私がこんな呑気そうな顔をした男によって書かれた存在だったとは」

 自分が書いた存在とはいえ、ちょっとムッと来た。

「言わせてもらいますけど、僕があなたを書いたんですからね。知ってます? 作者より頭のいいキャラクターは存在しないんですよ」

「ほぉ……貴様、私よりも頭がいいと?」

 おっと、怒らせたかも。

「じゃあ、勝負しましょうか」

 そんなこんなで、自分の書いたキャラクターと頭脳勝負をすることになってしまったのだった。


 しかし、まずいな。

 ウィロウは結構頭のいいキャラクターだ、自分で書いておいてなんだが、勝てる気がしない。

 何を知っていて、何を知らないかを書いたのは僕だけど、書いてないことに関しては未知だ。

 思考速度だって僕が一ヶ月考えて書いた推理を話の流れで気づいたかのように話す。

 誰が見ても、会って話せばウィロウの方が僕よりも頭がいいと言うだろう。

 まぁ、それでもこんな挑発をしてまでもこんな勝負を持ちかけたのはやっぱり一度試して見たいと思ったからだ。


 本当に作者より頭のいいキャラクターは書けないのか。

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