第1210話:ディア・アダイト~己の闇~
「僕は君だ」
目の前にいるのは僕によく似ているが醜悪な表情をした僕を名乗る誰か。
見ただけでこいつと友人になるのを躊躇ってしまいそうなほどの傲慢さが顔つきに現れている。
そんな存在が僕だと主張している、それは当然のように
「受け入れがたいか?」
そいつが問いかけてくる。
「いや、信じよう。君は確かに僕のようだ」
「そうだろう僕が君自信なんて受け入れがたいのもわかる……、なんて?」
僕の返答が想定と違ったのか聞き返してくる。
「君が僕の本性だってことはわかっていると言ったんだ。と思ったけどやはり違う気がしてきたな」
「そうだろうそうだろう、己の本性がこのように醜悪だなどと、普段良い顔を周りに向けている君が受け入れられるはずがない」
「いや、その醜悪さは自覚しているが、それを僕が自覚していないなんて認識している君が、僕自身なのかどうか疑わしくなっただけだよ。もう一度問う、本当に君は僕か?」
「ああ、本当さ。君は思ったよりも自身の悪性に自覚的だったようだね。しかし、自身の理解度が思いのほか低いことの具現なんだぜ!」
「いや、君は僕じゃないな、僕の本性であればそんなに丁寧に解説するようなものでもないし、僕についての理解がここまで低い本性が出てくることもないだろう。たぶんこれは夢なんだろうけど、どうしてこんな夢をみたんだろうな、じゃあそろそろ起きるから、ここでのわかれの挨拶ははおやすみでいいのかな? おはようの方がいいかい?」
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