第1211話:アトリ・フェーダ―~タイムアタック~

「うーん、今日も更新ならずか……」

 コース立体マップに今の記録と最高記録を同時に投影する。

 完全に一致した軌跡をなぞって、まったく同じタイミングでゴールした。

「これが限界なのかなぁ……」

 いろんなルートや体の動かし方を試行錯誤してきたが、ここしばらくはこのルートで固まってしまって、タイムは縮まない。

 今までにマップに書き込んだここの注意事項といった書き込みを一つ一つ確認して、他に気づいたことが何かないかを考えていく。

 殆どない書き込みの隙間に実際に足を運んで、気が付いたことをメモしていく。

 しかし、改善が全然おもいつかない。

 何を考えても現状を超えるタイムが出ると思えない。

 身体の扱いを考えても現状がベストという結論になってしまう。

 ううん、私はこれ以上にはなれないのか……

 考えながら身体を休めて、回復したのでもう一度とスタート地点に立つ。

 うーん、もう考えてもどうにもなりはしないと何も考えずに走ることにした。


「だめだー!」

 考えるのをやめて自然な動きで体を動かせばもしかしたらタイムが縮んだりするんじゃないかとか思ったりもしたが、最近繰り返しこの動きを繰り返してきたこともあって、結局いつもと全く同じタイムにしかならなかった。

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