第1173話:ガラウズ・キクドリオ~卵当て~

「来たな、ゲンチテース」

「じゃあ俺はフルアロード」

 転生者案内の仕事、転生卵が出現するとまず転生卵の外見からどこの世界からの転生者かどうかを推測するのだが、タッグでこの仕事をしているとこうやって勝負になる。

「フルアロードだったか」

「もうちょっと勉強してくれよ、あの特徴的な曲線であの模様はフルアロードしかないだろう?」

「覚えきれるわけがない、見ろこの転生卵特徴リストを、スクロールバーが1ポイントもないぞ?」

「経験を積めば結構わかるようになるさ、このリストの中でも実際にここに来るのは数百種類ぐらいだし」

「それでも多すぎると思うんだが……」

 いろんなターミナルを転々としてる案内者がいるという話を聞いたことがあるが、そいつは一体どうやってありとあらゆる世界の転生卵を見分けているのか……。


「来た、この卵は……」

「別にリストを見て判断してもいいぞ」

「いや、これはきっとウラウェニ!」

「じゃあフォウルソトネカ」

 ほとんど見ずに判断しやがって、余裕が透けて見えるというか、余裕しか見えないというか。

「フォウルソトネカだったな」

「これで52連敗か……」

「そもそも勝負になるわけがないだろう、タッグでこの業務やってるのは俺がお前の教育係だからなんだからさ」

 それでの一回ぐらいは勝ちたい。

「ていうか俺は外さないんだからお前が早く当てられるようになってくれよ……」

 それはそうなんだが……

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