第1153話:ユームー~新しい世界~

 前の世界では報われない人生だった。

 ひたすらに効率だけを求められ、いつも労働に追われ休みは体力の回復に必要な時間だけ。

 そんな人生を終えてみればこの自由な世界、好きにやらせてもらおう。


 朝、起きたらまだ暗かった。

 起床時間は習慣通りの早朝、仕事に行く必要はないのにこんな時間に起きてしまった。

 習慣に従って朝食を用意してクローゼットを開けたところで空だった。

 そうか、まだ生活基盤が整ってなかった。

 やらなければいけないこともないし、いろいろ買いに行くことにしようか。


 街に出ると、皆思い思いの格好で出歩いている。

 この世界でのフォーマルな格好というのがどういうものなのか全然わからない。

 適当に一着フォーマルなスーツでも用意しておこうかと思ったのだけど、いらないか。


 装甲しているうちに昼になる、目に付いたファストフードを食べて考える。

 自由に生きるってどうやるんだ……?

 いままでは効率を基準とした生活をしていた。

 他者の自由な生き方をうらやんだりもして、自由な生活にあこがれを持ったりもしたのだけど、こうやっていざ自由を与えられたときに何をしたらいいのかわからなくなってしまった。

 特にこの世界、自由すぎる。

 他者はそれぞれ異なる基準で生活しているから大衆を基準にして生きることはできず、生活に目標もないからそれを基に計画を組むこともできない。

 さて、どうしたものか……

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