第1151話:マ-スフェン~名か業か~
むかつくあいつをついに捕まえた、なんやかんやの処理も終わって今から処刑、最後の問答を始めるぜ。
「いえーい! 究極の選択のお時間です」
「ノリが軽い……」
「あんまり重くするのもどうかと思ってね? それともこういうのは重くした方が好みかな?」
「できれば未来永劫こんなシチュエーションにならないのを希望したいね」
「なったものは仕方ないね! さて、これから君は死ぬ訳なんだけど、残すのは名か
ギロチンに挟まりながらもこいつは死を恐れていないみたいな顔をする。
「よくわかんねぇなぁ、どういう選択だいそれは」
「うん、君はいろいろ業を極めたじゃないか、それをまだ誰にも継承してないだろう? 業を選べばそれを完璧に継承した子を用意してあげる。代わりに名は歴史に残らない」
この処刑も公にはしない、こいつのしでかした数々の事件も無名の犯人で処理する。
「ほぉ、継承するまで生かし続けてくれるのかい、サービスがいいねぇ」
「いや、技能だけ抽出できるんだよ、不思議だよね」
有用な技術もたくさんある、こいつの名さえ付随しないなら使うことに抵抗はない。
「それで、名を選べば俺の名を歴史に残してくれると」
「そう! もちろんその場合君の業は誰にも継承されることなく、ここで消える」
不名誉この上ないからね、こいつの名がタグとしてついた業なんて、そんなもの背負いたくも背負った者を見たくもない。
「──、なるほどね、趣味のいいことで」
「まさに究極の選択だろう?」
彼から見れば、何を残すかという話だ。
悪名か、極めた業か。
「そうだな、唯一誤算があるとすれば」
「何だよ」
「俺は名を残すことにも業を残すことにも興味がねぇ」
「死ね」
刃は落ちた。
最後にこいつは笑いやがった。
いや、最後の顔を笑い顔にさせられた。
全く、最後の最後まで腹が立つ奴だ。
「抽出した業にお前の名を貼って、封印してやる」
未来永劫、お前の名を付けて、お前の業を腐らせてやるからな。
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