第1098話:ユラト-チカニカ~しゃくしゃくいも~
「ポテトサラダ作るって話だったよね」
「そうだけど、どうかした?」
「卵茹でて、芋茹でて、どっちも剥いて、マヨネーズも用意して、塩も胡椒もたっぷりあるのはいい」
「うん」
「この芋、めっちゃ固いんだけど。ポテトサラダってもっとホクホクになった芋でやるもんなんじゃないのか?」
潰そうとしたけど、硬くて表面をなでることしかできない。
「この芋はしゃくしゃくいもって言って、しゃくしゃくっていう食感がおいしい芋なんだよ。サラダにはやっぱりしゃくしゃく感でしょ」
「ポテトサラダ、にいものしゃくしゃく感はいらないと思うんだよなぁ」
「そうかな?」
「そうだよ、でもしゃくしゃくいもしか用意してないんだろ?」
「うん、ないよ」
「仕方ない、今日はこれを使うか」
仕方ないと潰すのはあきらめて包丁で切る。
硬い、生芋じゃないかというぐらいの硬さだ。
「これ本当にそういう品種なだけか? 生芋じゃないか?」
「生じゃないよー、しゃくしゃくいもだよ」
そのしゃくしゃくいもってのを聞いたことがないから気になってるんだよな……
「よーし、できたぞ!」
「芋が固まりで入ってる……」
完成した状態を見てもすごい違和感だ、ポテトサラダってよりも卵サラダに芋が入っているという感じ。
「……うまい?」
「なんで疑問系なの、おいしいでしょ」
「芋がしゃくしゃくしてて、なんか不思議な感じだからさ」
「そりゃあしゃくしゃくするでしょ、しゃくしゃくいもなんだから」
「しゃくぜんとしねぇなぁ……」
ちょっとうまいのがまた……
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