第1084話:ベッツ・トリカル~封印の品~

「お、また何か見つけてきたのか」

 封印された箱の解錠をするために解呪屋に持ち込んだ。

「あんたぐらいだよ、こんな高頻度で封印された箱見つけてくるの。形式も特に統一されているわけでもないし、一つの遺跡で集めてるわけでもないんだろ?」

「どういうわけかよく見つかるんだよ。封印されてない箱の方が楽でいいんだが」

「そう言うなよ、封印されてる物には結構いいものが多いんだからさ」

「君は開けて分け前をもらえるからだろう」

「そりゃあな、俺にとっちゃあ封印されてる方がいい。というか封印されてないやつには縁がない。あんたもここに持ち込まない遺物も結構見つけてるんだろう?」

「それはそうだな。それで、それは開きそうか?」

「もうちょっと待て、今形式を特定した。これは……結構複雑な奴だ、鍵を生成するのに少しかかる」

「前から疑問に思ってたんだけど、そういう封印の鍵ってどうやって作ってるんだ? 元々封印を施した奴も解錠を試みることを想定しているだろうし、封印を見て鍵を逆算するなんて無理なのでは」

「んー、まぁ封印の形式によってもまちまちだけど、どんな封印にも脆弱性ってのがあるんだよ。封印を施した当時は最先端でも今は旧式、脆弱性もよく知られているし、当時の演算力では逆算できないようなハッシュコードも最近の技術ならすぐに解ける。そういうことだよ。あとは、時間経過によってほころびができてたりな」

「なるほど、古い遺物だからこそ開けられるというわけか……。じゃあ最近封印されたものとかは開けられなかったりするのか?」

「それはまた別の話。ほら、開いたぞ」

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