第1060話:コライ・フツリブ~効果はないようだ~

「困ったなぁ」

「また何か安請け合いしたの?」

「そんなところ、お前フィスノフって魔物を知っているか?」

「知らない、どんな魔物なの?」

「見た目は草でも食って生きてそうな動物なんだが……、攻撃が一切効かないって話でな」

「一切って、どれぐらよ」

「打っても斬っても撃ってもダメ、燃やしたり凍らせたりしびれさせたりも効かない、もらった資料によれば原子分解銃も意味はなかったそうだ」

「それは無敵って奴でしょ。請けた仕事はそのフィスノフをどうする仕事なの?」

「……フィスノフの死体のサンプルが欲しいそうだ」

「無理でしょ」

「だよな? 原子分解銃ですらノーダメージな奴の死体とかどうすれば用意できるんだって話だよな」

「その仕事返して来たら?」

「いやぁ、一度請けた仕事を返すってのも……、一応策がないわけでもないからさ」

「どうするのさ」

「どんなに無敵でもこの世界には来てるんだ。つまりそれは死んだことがあるってこと。外的要因か寿命によるものか、その辺はわからんが探せばすでに死んでる個体が見つかるかもしれない」

「まぁ、頑張ってね」

「おう、しばらく探しっぱなしになって帰ってこないと思うけど、心配しないでくれよ」



「あれ、コライじゃない久しぶり。一年ぶりぐらい? あれ、フィスノフってやつ。何とかなったの?」

「ん、あぁ、あれな、しばらく観察してたんだけど、あいつら本当に死なねぇのかもな。死体はどれだけ探しても見つからないし、死にそうな個体は見つからねぇし」

「見つかったから帰って来たんじゃないのか?」

「一応見かけた全個体に発信機着けて、死んだ個体がいればすぐわかるようにだけ準備して帰って来たんだよ。一応依頼に期限は設定されてなかったから、長期的な目標としてやっていくさ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る